人気ブログランキング | 話題のタグを見る


トルコ共和国カイセリ遺跡調査プロジェクト(KAYAP)


by 紺谷亮一

カテゴリ

全体
はじめに
遺跡数、遺跡立地の変遷
遺跡規模と小地域圏
キュルテペと南西交易ルート
エイリキョイ遺跡
新たな交易都市の発見
総括
参考文献
パブリシティ
未分類

外部リンク

その他のジャンル

「2つの丘」イキテペ

「2つの丘」イキテペ_b0329055_7161334.jpg


■新たな交易都市の発見!「イキテペ」
「2つの丘」イキテペ_b0329055_2281797.jpg


 イキテペとはトルコ語で「2つの丘」という意味で、実際に大小2つの遺丘が東西に並んでいる。カイセリの南西約40km、エルジェイズ山の南西裾野の「スルタンサズルー」という湖の北岸にある。

 イキテペで採集された土器片の多くはアッシリア・コロニー時代、キュルテペ遺跡のカールムⅡ層、Ⅰb層とほぼ併行する時期のものであった。エイリキョイと同様、地中海方面からタウルス山脈を越えて中央アナトリアに至る交通の要所である。

 2011 年の調査で地表面に露出している石列を確認した。GPS により範囲を測定してみると、遺丘を取り囲むように配されていることが分かった。北部、南部では門らしきものが確認できた。また四角い部屋のようになっている部分もあった。これは「箱型壁」と呼ばれるアッシリア・コロニー時代の都市にみられるものとよく似ており、都市の周壁の可能性がある。

 キュルテペ文書では、アナトリアには十数カ所のカールム(アッシリア商人居留区)があったという。現段階で地名が確実に同定されているのはボアズキョイ(ハットゥシャ)、アジェムホユック(プルシュハンダ)、キュルテペ(カニシュ)のみである。遺跡の規模や周壁の存在から、イキテペはアジェムホユックとキュルテペの間に存在するカールムをもつ交易都市であった可能性がある。今後詳細な地形測量とGPR(地中レーダー)探査などを行い、さらに詳しく調べていく。
 
 
 
 
 
by kontani_santa | 2014-03-10 07:14 | 新たな交易都市の発見